USCPA「FAR」の勉強法と合格戦略【最重要科目】
はじめに
この記事では、私自身がFARをどのように勉強し、どう乗り切ったのかをベースに、働きながらUSCPA「FAR」に合格するための現実的な勉強法を解説します。
FARとはどんな科目か
FARの特徴:とにかく「重い」
FARは、USCPA試験の中で最も出題範囲が広く、勉強時間もかかる科目です。
FARを大きくカタマリで分けると、以下の3点になります。
- 財務会計(初級~中級レベル)
- 政府会計・非営利会計
- 連結会計・企業結合(中級レベル)
特に会計未経験者にとっては、概念理解 → 計算 → 問題演習のすべてが初体験になるため、最初の壁になりやすい科目です。
FARで多くの人が挫折する理由
① ボリュームを「理解しきろう」としてしまう
FARで最も多い失敗は、テキストを完璧に理解してから問題を解こうとすることです。
正直に言うと、FARは最初から完全理解する科目ではありません。
むしろ、理解できないまま進めることを許容できるかが重要です。
また、いちいち理解し治すために講義を見過ぎることも時間の無駄になります。
2周くらいの講義視聴でとどめ、テキストベースで分からない箇所を洗い出しましょう。
② 進捗が遅くなり、モチベーションが落ちる
FARは1章ごとの情報量が多く、「勉強しているのに終わらない」と感じやすい科目です。
- 勉強間隔が空く
- 内容を忘れる
- 最初に戻る
という負のループに陥りやすくなります。
FARの基本的な勉強ステップ
① 講義 → 軽くテキスト確認 → 問題演習(解説重視)【MC対策】
FARの勉強は、以下の順番を1セットとして回していくのがおすすめです。
- 講義を視聴する
- テキストをざっと確認する
- 該当章のMC問題を解く
- 解説を丁寧に読む
この段階では正解率は気にしなくて大丈夫です。
「なぜその選択肢が正解/不正解なのか」を理解することが最優先です。
② 最初の2周は「捨てる勇気」を持つ【MC対策】
1周目・2周目で内容が定着しないのは当たり前です。
- 間違えた問題に印を付ける
- 深追いせず次へ進む
FARは回転数を上げることが合否を分けます。
細かい理解は3周目以降で落とし込めば十分です。
③ 3周目以降は問題を通じ理解を深める【MC → 総合問題対策】
3周目以降は、理解を意識するフェーズになります。
特に意識してほしいポイントは以下の2点です。
- 何の勘定科目の処理か
- 初度測定か/期中処理か/期末処理か
本番では初見の問題を解く必要があります。
問題演習だけに頼った勉強では、得点力は頭打ちになります。
④ 仕訳が切れる&財務諸表全体を意識する【総合問題対策】
MC対策をある程度回し終えた段階で、次に意識すべきフェーズが 「総合問題(TBS)を見据えた理解」です。
この段階で重要になるのが、以下の2点です。
- 仕訳が切れること
- その仕訳が財務諸表全体にどう影響するかを理解できていること
ここが曖昧なままだと、MCでは点が取れても、 本番のTBSや初見問題で一気に失点することになります。
(1)仕訳が切れる
FARの最大の目標の一つは、「適切に仕訳が切れること」です。
それまでの勉強では、 「計算が合うか」「選択肢を選べるか」 に意識が向きがちですが、 最終的に求められているのは取引を正しく仕訳として表現できるかです。
実務でもFAR試験でも、すべての出発点は取引の発生です。 問題を見たら、いきなり計算に入るのではなく、 まず以下を頭の中で整理してください。
- どの勘定科目に関する取引なのか
- 初度測定なのか/期中処理なのか/期末処理なのか
- 特殊な論点(減損、評価替え、交換取引など)が絡んでいないか
例えば有形固定資産であれば、
- 取得・売却・除却(単一取得か一括取得か)
- 交換取引かどうか
- 自己使用資産か投資用資産か
- 減損処理の要否
- 開発資産であれば借入利息の資産計上の可否
といった関連論点が自然と頭に浮かぶ状態を目指してください。
「問題に直接関係ない論点まで考える必要があるのか?」 と思うかもしれませんが、答えはYESです。
周辺論点まで含めて整理することで、 知識が点ではなく線でつながり、 結果的に記憶の定着と初見対応力が大きく向上します。
(2)財務諸表へのインパクトが分かる
もう一つの重要な目標が、 「財務諸表一式(BS・IS・CF)を意識して仕訳を切れること」です。
仕訳は単独で存在するものではなく、 その集計結果が財務諸表になります。 つまり、仕訳と財務諸表は常に連動しています。
しかし、会計未経験者ほど 「仕訳は仕訳」「財務諸表は財務諸表」 と別物として捉えてしまいがちです。 私自身もここが理解できず、総合問題でかなり苦戦しました。
意識してほしい具体的なポイントは、 仕訳を切った瞬間にBS・PL・CFの動きを頭の中でイメージすることです。
- BSの資産が増えた場合、負債が増えたのかそれとも資本が増えたのか
- PLの収益・費用が増えた場合、BSのどこに影響が出るか
- CFでは営業・投資・財務のどこに分類されるか
特におすすめなのは、 BSを起点に考えることです。
BSは貸借一致の原則があるため、 資産が増えれば、必ず負債か資本が増えます。 この前提に立つことで、 PLやCFとのつながりも自然と理解しやすくなります。
資本の部(利益剰余金など)は、 日本の簿記でも苦手意識を持つ人が多く、 実務や試験でも軽視されがちですが、 PLとBSをつなぐ極めて重要な要素です。
この視点を持てるようになると、 TBSでの情報整理スピードが一気に上がり、 「何を聞かれている問題なのか」が明確に見えるようになります。
以上の(1)(2)を強く意識しながら、 MC演習・総合問題演習を進めていきましょう。 特にこの④の理解度が、FAR合否を大きく左右します。
FAR勉強で特に意識すべきポイント
① 毎日触れる(30分でもOK)
FARは間隔が空くと一気に忘れます。
平日は30分〜1時間でもいいので、必ず触れるようにしましょう。
② 連結・税効果・政府会計は「割り切る」
完全理解を目指す必要はありません。
出題パターンと頻出論点に集中するのが現実的です。
まとめ:FAR合格はUSCPA合格への最大の近道
FARを突破できれば、USCPA合格は現実的な目標になります。
正しいやり方で回し続ければ、必ず終わります。
次回は、鬼門であるAUDの勉強法について詳しく解説します。

